問い合わせ先を表示することは、特定商取引法上も要求されているためほとんどのサイトが行っています。

しかし、一部サイトでわかりづらいところに表示し、問い合わせが来ないようにしているサイトもあります。顧客満足度を重視するのであれば、問い合わせ先はわかりやすい部分に明示し、かつ問い合わせをしやすいように記載することが必要です。

以下、メールによる場合と電話による場合について注意点をまとめています。

Eメールによる場合

※何かを記載した方が良いという場合、サイトに記載するだけでなく、問い合わせを受けた際の自動返信メールなどに書くのも効果的と思います。

問い合わせを受け付ける時間と返答する時間を分ける

Eメールの場合、受付自体は24時間行えます。その旨を記載した上で、返答する時間(営業時間)を記載するようにしてください。

また、問い合わせをいただいたあと、原則として○時間以内に返信するかという点について記載があれば、よりお客様は安心だと思います。

迷惑メールフィルタリングについて

お客様からのメールが、サーバー上のフィルタリングプログラムもしくはメーラーのフィルタリングにかかり、迷惑メールと判断されてしまった場合の対処についても明記するようにしてください。例えば、「お客様からのメールが当店のシステム上自動的に迷惑メールと判断されてしまう場合があります。その場合にはメールによる問い合わせを受け付けることが出来ませんので、問い合わせ後しばらく待っても返信が来ないという場合には、お手数ですがお電話にてお問い合わせいただければ幸いです。」などとなります。

また、逆にお店側が返信した場合に、それがお客様側システムに迷惑メールとして判断されてしまう場合があります。そのようなことがあり得ることを明記した上で、返信が来ないなと思ったら迷惑メールフォルダを見てもらうようにしてください。

なお、とても多く使われる「Yahoo!メール」サービスがこの点でやっかいです。「Yahoo!メール」は、Webメールサービスですが、POP/SMTPプロトコルも利用できます。「Yahoo!メール」では、迷惑メールと判断された場合、POP/SMTPプロトコルでは受信できませんので、POP/SMTPプロトコルを利用し、メーラーで受信しているかぎり受信することはできません。このことを知らないお客様も多いので、その旨についても記載するのが良いかと思われます。

メールの利点を上手く使う

メールは、電話と異なり基本的には内容が証拠として残ります。記録としてやりとりを残す方が少なくともお店側にメリットがある限り、電話で問い合わせをうけてもメールにランディングさせていくのがベストです。

例えば、返金に応じる場合で振込先をお客様からいただく場合は、かならずメールでいただくようにする。また、「お客様から連絡をいただいてから○日後」などを条件とした対応がある場合には、その連絡は必ずメールによるものとする、などメールの特長を生かし活用するのが良いと思われます。

電話ではなくメールでの対応をおすすめする事例は、例えば以下のようなものになります。

  • お客様の意思表示を明確にし、証拠として残しておきたい場合
  • 電話で即答できない問い合わせの場合(取り寄せ商品の納期の問い合わせなど)
  • 大量オーダー、非常に多くの種類の商品注文など(数量の言い間違いや商品の間違いなどを防ぐためにメールでやるのが安全でしょう)
  • 例外的な問題が発生し、担当者一存では決めることが出来ない場合
  • メーカーへの問い合わせが必要になる場合
  • 各種代行会社に業務を委託している場合で、その委託先に問い合わせが必要な場合

メールの欠点も認識する

メールは非常に便利でコストもほとんどありませんが、デメリットもあります。

お客様の表情が見えず、お客様からもスタッフの表情が見えないため、すれ違いや勘違いなどが起き、感情もヒートアップしやすいという側面もあります。

また、店側には負担する必要のない義務を担当者が勘違いして「できます」「対応させていただきます」などと返信してしまう間違いが起きないとも限りません。言ってしまいそれを相手が了承し、しかもメールという証拠が残ってしまうと法的に応じざるを得ない場合がほとんどですので注意が必要です。

お客様対応のメールについては、各社員間で共有するなどある程度リスクヘッジを行うようにした方が良いと思われます。

送信間違えなどに注意する

お客様とやりとりするメールは、当然そのお客様やその注文内容、配送先の状況などについての情報を含む場合があります。これはすなわち個人情報ですので流出・漏洩すると責任を負わなければならない場合があります。単純な宛先間違いや、関係ない部署の担当者に送ってしまう場合でも流出・漏洩と言い得るので気をつけるようにしてください。

この点を考慮し、メールではなく会員ページから掲示板機能のように店員とやりとりをする機能を持ったECシステムもあるようです。(そのシステムはそのECサイトオリジナルで他社に提供されてはおらず、詳細についてはお話しできません。)

電話による場合

受付日・時間について

電話は担当者がいなければ対応できませんので、受付日・時間については必ず明記するようにしてください。

メールを活用する場合について

証拠が残り、言い間違いなどが起きないメールを活用する場合は事例を挙げてメールでの問い合わせを促すと良いでしょう。例えば、「下記の場合には電話でなくメールにて問い合わせを受け付けております。1.○○○な場合 2.×××な場合」などです。

回線が混み合っている場合について

回線が混み合っている場合に、自動音声ではなくつながらないという場合には、その旨を明記するようにしてください。

商品のレビューなど、お客様側から情報や感想などを投稿する機能がついている場合、また特殊な問題が生じます。それは、知的財産権(著作権)に関する対応です。

通常、お客様が書いた文章はお客様が著作権を有し、その改変・削除・利用・流用などは原則として許されません。しかし、ただお客様の行為にサイト運営を委ねると、お客様同士の言い争いや、お客様が勝手に誰かの文章をそのままコピーして投稿してしまうなどの問題が発生しかねません。

また、投稿したのがお客様でも、その「場」を管理しているのはECサイトですので、その「場」から第三者に飛び火して損害を与えたような場合には、サイト運営者が損害賠償責任を負うおそれがあります。正直、何が起きるかわからないというのが実態です。

ですので、きちんと運営できるように投稿する際には必ずECサイトが提示する条件に従ってもらうようにし、ユーザーが投稿したものについては、監視・削除・差し止めができるようなシステムにするのがよいでしょう。同時に、問題がある投稿について見ている人が簡単に運営者に通報できるシステムにすべきです。

システムをどう組むべきか

どのような機能を実現したいかにもよりますし、何を投稿させるのかによっても異なります。以下、テキストのみのスタンダードなレビュー機能を前提にして述べます。

まず、出来れば該当サイトの会員登録者に限って投稿できるようにするべきではないかと思います。これは、いざというとき本人への連絡ができるからです。もちろん、その意味であればコメント投稿の際に合わせてメールアドレスや電話番号を求めればよいという考え方もあります。

しかし、なるべくレビューなどの投稿を促進したいという場合には、登録会員だけに限るのはちょっと…という場合もあると思います。その場合には、まずいコメントかどうかを監視する体制と、すばやく削除する体制が必要になります。(すべて完璧に監視する義務が法的にあるのかといえばそうではありません。組織的体制に見合った相当な対応・監視をすればよいことになっています。しかし、相当かどうかを判断するのは最終的には裁判所ですし、なにより誹謗中傷が行われているサイトで購買意欲が促進されるでしょうか?なるべく早く対応するのが良いと思います。)

サイトを見ている人が簡単に運営者に通報できるシステムを入れることや、もしくはECサイト運営者の承認をもってコメントを表に表示するようにするという手もあります。また、ある程度キーワードを絞ってそれらキーワードが含まれる投稿(例えば、「殺す」や卑猥な単語など)については、投稿できないようにしてしまうと言うのも手です。

また、削除するかどうか迷った際に備えて、「表示を一時保留する」という対応がとれると非常に便利です。そのような機能をつけることも考えてみてください。

基本姿勢

まず、ECサイトがレビュー機能を付けるのはなぜでしょうか。口コミによるコンバージョン率の増加、サイト内回遊性アップ、PV/UUのアップ、ユーザーの顧客満足度の向上、運営者だけではカバーしきれない商品に関する情報の提供、実際に購入した方からのレビュー投稿で安心感を提供、レビュー内容を販促などに使いたい、などでしょう。

しかし、投稿者には著作権があり、その内容の編集・削除・利用・管理は、原則として著作権者である投稿者しか行えません。

他方で、管理するECサイトに投稿された内容が、第三者に対する誹謗中傷であったり、他のユーザーをだますためのいたずらだったり、言い争いがエスカレートすることで実際に殺傷事件が起きたらたまったものではありません。場の管理者として責任を問われるおそれもあります。

では、ECサイト側の判断で、投稿内容を勝手に消せるようにしましょうか。しかし、何を書いたら消されるかわからないようなところに、善意のユーザーが投稿するでしょうか。恣意的な運用がなされ不愉快な思いをしたユーザーが再び投稿し、もしくはお客様としてサイトを利用してくれるでしょうか。いかにECサイトが管理する場とはいえ、投稿の機会を与え場を解放し共有するのであれば、一方の恣意的運用がその関係を壊し、むしろ悪影響をも与えうるのです。もちろん、最終的には場の管理人としてECサイト運営者の判断になりますが、やはりある程度恣意的な運用をさけるため、一定の基準を設けて明示するのがベストと言えます。

ですので、基本姿勢としては、「あくまで投稿は投稿者の著作権に基づき保護されます。しかし、場の提供者としてこの場の秩序を維持するために、一定の基準を設けてそれに基づき投稿内容を削除することがあります。」というのがバランスがとれていて良いように思います。

利用条件をどう設定すべきか。

基本姿勢と一定の基準

まず、かならず投稿の際に条件を明示し、同意を得てから送信するようにしてください。これがなければ以下の議論は全く無意味になります。また、その同意を得る方法も、著作権が厚く保護されていることに鑑みてしっかり同意を得てください。見えないような小さい文字で条件を示しても何ら意味がありません。

※もちろん、しっかり同意を得たとしてもそれが裁判所で認められるかどうかは、また別問題です。ですので、可能な限り最大限同意を得るようにしてください。

まずは上記で述べたような基本姿勢を述べます。つぎに「一定の基準」ですが、これは以下のようなものになります。

  • 他者の何らかの権利を侵害、またはその恐れがある場合
  • 他者の名誉を毀損、またはその恐れがある場合
  • 発言が元になり、当サイト上での秩序が乱れる、またはその恐れがある場合
  • 客観的な事実に反する場合
  • その他上記に相当するような重大な事態が発生、またはその恐れがあると当店が判断した場合

見てわかるように、究極的には店舗側の判断になります。しかし、要するにまともな投稿であれば運営者が削除することはありませんよというメッセージにはなります。その他思いつくものについてはなるべく列挙し、あらかじめ公開・明示し、投稿の際に同意を得るようにしてください。

レビューを販促などに利用したい場合

投稿の際に、利用するであろうことをなるべく列挙し、明記すること。そして、投稿の際にそれについて同意を得るようにしてください。

例えば、「投稿された内容は、当店の販促、マーケティングの資料として用いられ、またよりよい店舗づくりのための意見として参考にする場合があります。あらかじめご同意の上、投稿してください。」などです。

なお、事前に明示していないものに利用することは、法的に言えば無理があります。同意内容について、いつでも運営者が変更できるようにしておくことはもちろんですが、それは「運営のため必要な場合」に認められると考えられます。もちろんそれは運営者の勝手ですが、「販促のため」である場合に相当性が認められるかについては疑問です。どうしても利用目的について変更したいならば、直接同意を求めるか、メールで新しい規約と変更点を送り、同意できない場合には削除してもらうなどしても認められないおそれがあります。

対外的な規定

また、他のサイトに勝手に利用されては運営者も投稿者もたまったものではありません。対外的には、「当サイト上に掲載されているコンテンツは、当サイトまたは投稿者の財産であり、著作権法によって保護されています。投稿された内容については、投稿者に著作権が帰属します。その使用許諾について当サイトが諾否の判断を行うことや、投稿者の個人情報について開示を行うことはできませんのでご了承ください。なお、投稿の削除基準に該当するような投稿を発見し、削除依頼を当サイトにしたいという場合には当サイトで確認の上応じる可能性があります。その際は当サイトの連絡先にご連絡ください。」などとするべきでしょう。

その他

大変申し訳ないのですが、ここでは著作権その他知的財産権に関する実践的な解説をすることができません。それは私の力量不足でしかないのですが、著作権および著作権者は投稿者の数だけ存在し、利害関係が複雑なのです。法的に言って完璧なものはあり得ません。システムを把握し、顧問弁護士と相談の上規約を定めて、あとはリスクを承知の上で運用するしかありません。

結局は、投稿者が納得できるかどうかです。そして、どんなに厳格に管理・運用しても文句を言う人はいますし、不満を覚える人はいます。そこで、出来るだけ権利を保護し、裁判でも負けないような方向へと舵を切るか、それとも文句を言ってこない程度であればある程度の不満と法的リスクを覚悟して運用する方向へと舵を切るか、利益と思惑とかけられるコストとやりたいことと目的などによって多数の選択肢があるように思います。運営者次第です。