返品については、近時頻繁に改正が入っている部分で、注目しているECサイト運営者の方も多いと思います。しかし、私が見る限り法の趣旨に沿ったまともな対応、つまり各省庁が出しているガイドラインの内容に従うということですが、それが出来ているECサイトは全体からすれば本当に少ないのが現状です。最低限法に従うような対応をとっていればまだ良いというくらいでしょうか。

しかし、このように業界全体が進む限り、法改正はこれからも進みます。ガイドラインがやがて法律になり、それでも十分でなければ、訪問販売について認められているクーリングオフをEコマースにも適用するかもしれません。(実際にそんな法案も出ていました。修正されて成案になりましたが。)

少しだけでも、返品規定については危機感を持って定めてほしいように思います。薬事法の改正で第一種医薬品についてEコマースが締め出されたという実例もあるのですから。

返品について基本的なこと

返品特約は何でも許されるわけではない

まず、お客様側に全く落ち度がないにもかかわらず返品を認めないということは法的に見てかなりの無理があります(隠れた瑕疵があるときに、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項は、消費者契約法第8条第1項第5号により無効とされるからです)。お客様側に全く落ち度がない場合とは以下のような場合です。

  • 注文した商品と違う物が届いた
  • 注文した商品数量とは異なる数量が届いた
  • 届いた商品に通常の性能・品質が無かった(不良ロットなど)
  • 届いた商品に隠れた瑕疵(不良部分)があった(瑕疵担保責任)
  • 届いた商品がサイト上で掲載されていた情報と異なる部分があった
  • 事前の説明と異なる納期でそれがために契約の目的が達成できなかった

ですので、一律に「当店でご注文いただいたものについては返品を一切お受け付けできません。」という規定は、全く無意味です。それどころか、今回の改正法では不明確な返品規定については無効としており、通常通り特定商取引法で定められた返品を認める義務をサイト運営者に課しています。

特定商取引法で定められている返品に応じる義務とは以下のようなものです。(特定商取引法第15条の2など)

  • お客様が商品の引き渡しを受けた日から8日間は契約の解除(返品・返金)に応じる
  • 返品にかかる送料についてはお客様負担となる。
  • この場合、返品に関して条件を不当な条件を付してはならない。(付加して手数料などを請求できない)

これは、返品規定を定めていない場合に原則的に認められる義務と言うだけでなく、不明確な返品規定を定めていた場合、返品規定を定めていてもその注意喚起が不十分もしくは通常気がつかないような記載がされていたような場合などにも、原則的に守らなければならない義務であり、消費者の権利となります。

もちろん、商品によって、事例によって、サイト構成によって、その他の多種多様な要素から、「原則」は「例外」に変わります。しかし、社会は「消費者保護」を強く求めているのです。

容易に認識することが出来るよう表示する義務がある

返品特約については、特定商取引に関する法律施行規則第9条及び第16条の2において、「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」と定めています。

では、それはどのような表示なのでしょうか。事例や店舗、商品、媒体により異なりますが、概説だけ述べます。

  1. 小さい文字でないこと(12pt以上の大きさ、色文字を利用するなど)
  2. 返品特約とそうでない部分の区別がはっきりしていること
  3. 返品について消費者が知りたいと思うこと(「返品の可否」・「返品の条件」・「返品に係る送料負担」)については特に明瞭に記載すること
    ※明瞭にとは目につくようにということであり、例えば商品価格のスタイルと全く同じ太字・色文字を使うなどの場合や、かならず消費者が確認する部分のすぐ近くに掲載するなどである。
  4. ご利用ガイドなど、取引全体に関する解説ページを用意し、返品について説明したページも用意すること。
  5. 各商品ページに明瞭に記載すること
  6. 1つのサイト内で広告している様々な商品について、それぞれ異なる返品特約が適用される場合に、それぞれの商品について、いかなる返品特約が適用されるかを消費者に分かりやすく表示すること
  7. 最終申し込み画面(注文確定・確認画面)において返品に関する表示を行う、もしくは行った上でさらに詳細として返品に関する説明ページへのリンクを貼る
  8. 通常注文手続きをもっともシンプルな画面遷移で行った場合に、一度も返品特約の説明や解説ページへのリンクが表示されないことがないようにする
  9. 膨大なスクロールを経なければ返品規定にたどり着けないなどのないこと
  10. これらはあくまで例なので、全部この通りにしなければならないというわけではありません。しかし、感覚的にどの程度のことをしなければならないかについてはなんとなくでもおわかりいただけるのではないでしょうか。

    なお、紙媒体に広告を打つ場合や、動画などで広告を打つ場合など、その場合にはまた違ったわかりやすい表示が必要になります。単純にその広告自体の表示だけでなく、例えばURLを貼ってランディングページを作るならば、法的に見たLPOが必要になる場合もあるかもしれません。

コストとリスクを最小限にするには

とにかく店側のリスクを最小限に抑える方法を以下に記します。ただし、これによって問題が発生しないことを保証するものではありません。

まずは、返品に関する記載があるページを用意します。そして、そのページへのリンクをページの通常分かるところに掲載します。フッタ部分にカテゴリ検索と一緒に載せるなど分かりづらい部分はダメです。さらに、注文確定画面にも返品に関する記載を載せます。

では、返品に関する規定をどう定めましょうか。まず、お客様都合とそうでない場合を分けて記載します。そうでない場合とはつまり商品に隠れた不良や故障があった場合です。

具体的には、、、

  1. お客様都合でない場合
     ⇒送料当方負担で返品を受け付けます。

      ※お客様都合で無い場合とは、商品に欠陥がある場合やご注文商品と異なる物が届いた場合などです。

  2. お客様都合の場合
     ⇒一切お受け付けできません。

これで最低限を満たしています。しかし、このままでは不明確です(プログラムで言うスケルトンでしょうか)。期限や、申し出・連絡方法などについて加筆するのが良いと思います。

もちろん、返品に関する連絡先を併記することを忘れないようにしてください。

記載としてダメな例

経済産業省のHPにも記載がありますが、以下のようなものになります。

記載例 ダメな理由
「商品到着後10日間の初期不良については、返品・返金にて対応します。」 瑕疵がない場合の返品の可否についても明確に記載することが必要。
「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」「返品不可」 瑕疵がない場合の返品の可否についても明確に記載することが必要。
「商品に欠陥がない場合の返品についてはその都度ご相談に応じます。」 具体的にどのような場合であれば返品に応じるのか不明確。いくつか例を表示することが必要。ただしその場合でも例によってはダメ

カスタマイズ例

返品をどのようにするかは、商品によって大きく異なりますし、利益率、サイトシステムなどによる制約もあるでしょう。

顧客サービスを重視するのであれば、例えば未開封の場合に限り、実費と返送費をご負担いただ上で、お客様都合の返品を認めるとうのが双方にとってバランスが良く一つの手になると思います。

また、中古品をさばけるのであれば、開封後でも返品(という名の買い取り)に応じるというのも一つの手かもしれません。Amazonがやっています。

いずれにせよ、条件を明示し、わかりやすい所から説明へリンクし、ご注文確定画面にも明示する。それが大切なことです。

その他の注意点

商品によって返品に関する取り扱いが異なる場合、その区分は明確にするようにしましょう。でないと、実質的に返品条件が不明確になってしまいます。できれば、商品ごとに返品に関する表示をすると良いでしょう。

参考になるサイト

上新電機が運営する「Joshin Web」(楽天市場店)が参考になります。

すべての商品名に、返品種別[A・B]を付け、商品説明の一番上に、説明ページへのリンクを貼っています。

商品名への挿入については、CSVファイルの扱いや正規表現+置換などある程度ITに関する知識を持っていれば簡単ですし、そうでなくともそういうことが簡単にできるようなシステムがあってもおかしくありません。お客様にとっての明確さ、法令上の義務に応えるという姿勢と、運用を楽にするという部分を上手く両立しているように思います。

また、このサイトは商品の特徴ごとに返品についての注意書きも行っており、リスク管理についても優れています。例えば、女性用脱毛機の商品ページには、「脱毛直後は、個人差がありますが、血がにじんだり、肌があかくなることがあります。この様な症状での商品の返品・交換はお受けできません。ご容赦くださいませ。」という記載があります。おそらくそのような問い合わせや苦情があったので書き入れたのでしょうが、お客様も認識した上で買うことができますし、買わないで違う商品にするという選択もできます。非常にフェアだと思います。

 ⇒【楽天市場】Joshin web 家電・PC・ホビーの大型専門店 [Joshin webのご案内]

関連資料

税法上、領収書は、「まさに代金と引き替えとなる書類」です。代金引換の場合、「まさに代金と引き替える」のは、配送会社であり、配送会社がお客様に渡す領収書が「税法上の正式な領収書」になります。

各支払い方法ごとの正式な領収書
支払い方法 正式な領収書
代金引換 配送会社が支払いの際に発行(配送ラベル兼の場合もあり)
クレジットカード決済 クレジットカード会社発行の利用明細書
銀行振込 取引明細書、引落明細書

※金銭が何の対価であるかの記載がないため正規の領収書ではないとの考え方もあるが、税務署、国税庁は領収書相当になるとしている。店発行の取引明細控えと合わせれば正式な領収書として捉えることが出来る。(⇒参考リンク:Wikipedia

民法上、契約で代金を支払う際には、領収書と引き替えだと請求することができるものとされています(民法§486,533)。領収書を発行できないなら支払わないという権利が認められているのです。ですので、かならず配送会社などは、領収書を発行します。

もちろん、お店側で「領収書(のようなもの)」を発行することは可能です。

ただし、印紙税法は「書類」にかかる税金ですので、まったく同じ契約についても所定の代金以上の書類が2つ存在すれば、そのそれぞれに所定の金額以上の印紙代を貼る必要があります。お店側で領収書を発行する場合には、ただの控えであること、つまり「注文内容とその金額を示しているただの書類」であることを示さなければなりません。「まさにこの金額を領収いたしました」などの文言を記載することは避けるのがよいでしょう。むしろ、できれば「本書類は取引明細控えであり、税法上の正式な領収書ではありません」と文言を入れるのがベストです。ちゃんとした領収書を発行してくれという問い合わせは増えそうですが。

また、会社での経費支払いなどためにどうしてもお店のはんこや名前が入った領収書がほしいというお客様も多くいらっしゃいます。その場合には、「領収書という名目、合計金額だけを記載した、領収しましたという文言が入った書類(ハンコを押すか、ハンコっぽい画像を印刷するとお客様にとっては納得しやすいでしょう)」を発行し、日付、名前、商品名などについてはお客様側で書いてもらうようにするか、注文内容確認メールを印刷してもらうなどで代用してもらうようにするしかありません。その際には、正式な領収書(代金引換だと配送会社発行の領収書)を添えて利用してもらうようにしてください。

銀行振込の場合

上記の表中でも示しましたが、銀行振込の場合銀行が発行する取引明細書、引き落とし明細書は、何の対価であるかの記載がないため厳密な定義によればそれを領収書といえるか微妙ではあります。ですので、銀行振込の場合には店側が取引明細書(控え)を発行すべきと考えます。

いずれにせよ、商品と一緒に取引の明細や納品書を同封ないし別途発行するのは、「ちゃんとしたお店だな」と思われるための一助となります。お客様に安心感を与えますし、法人のお客様ではそれを必須としているお客様も多いでしょう。

問い合わせ先を表示することは、特定商取引法上も要求されているためほとんどのサイトが行っています。

しかし、一部サイトでわかりづらいところに表示し、問い合わせが来ないようにしているサイトもあります。顧客満足度を重視するのであれば、問い合わせ先はわかりやすい部分に明示し、かつ問い合わせをしやすいように記載することが必要です。

以下、メールによる場合と電話による場合について注意点をまとめています。

Eメールによる場合

※何かを記載した方が良いという場合、サイトに記載するだけでなく、問い合わせを受けた際の自動返信メールなどに書くのも効果的と思います。

問い合わせを受け付ける時間と返答する時間を分ける

Eメールの場合、受付自体は24時間行えます。その旨を記載した上で、返答する時間(営業時間)を記載するようにしてください。

また、問い合わせをいただいたあと、原則として○時間以内に返信するかという点について記載があれば、よりお客様は安心だと思います。

迷惑メールフィルタリングについて

お客様からのメールが、サーバー上のフィルタリングプログラムもしくはメーラーのフィルタリングにかかり、迷惑メールと判断されてしまった場合の対処についても明記するようにしてください。例えば、「お客様からのメールが当店のシステム上自動的に迷惑メールと判断されてしまう場合があります。その場合にはメールによる問い合わせを受け付けることが出来ませんので、問い合わせ後しばらく待っても返信が来ないという場合には、お手数ですがお電話にてお問い合わせいただければ幸いです。」などとなります。

また、逆にお店側が返信した場合に、それがお客様側システムに迷惑メールとして判断されてしまう場合があります。そのようなことがあり得ることを明記した上で、返信が来ないなと思ったら迷惑メールフォルダを見てもらうようにしてください。

なお、とても多く使われる「Yahoo!メール」サービスがこの点でやっかいです。「Yahoo!メール」は、Webメールサービスですが、POP/SMTPプロトコルも利用できます。「Yahoo!メール」では、迷惑メールと判断された場合、POP/SMTPプロトコルでは受信できませんので、POP/SMTPプロトコルを利用し、メーラーで受信しているかぎり受信することはできません。このことを知らないお客様も多いので、その旨についても記載するのが良いかと思われます。

メールの利点を上手く使う

メールは、電話と異なり基本的には内容が証拠として残ります。記録としてやりとりを残す方が少なくともお店側にメリットがある限り、電話で問い合わせをうけてもメールにランディングさせていくのがベストです。

例えば、返金に応じる場合で振込先をお客様からいただく場合は、かならずメールでいただくようにする。また、「お客様から連絡をいただいてから○日後」などを条件とした対応がある場合には、その連絡は必ずメールによるものとする、などメールの特長を生かし活用するのが良いと思われます。

電話ではなくメールでの対応をおすすめする事例は、例えば以下のようなものになります。

  • お客様の意思表示を明確にし、証拠として残しておきたい場合
  • 電話で即答できない問い合わせの場合(取り寄せ商品の納期の問い合わせなど)
  • 大量オーダー、非常に多くの種類の商品注文など(数量の言い間違いや商品の間違いなどを防ぐためにメールでやるのが安全でしょう)
  • 例外的な問題が発生し、担当者一存では決めることが出来ない場合
  • メーカーへの問い合わせが必要になる場合
  • 各種代行会社に業務を委託している場合で、その委託先に問い合わせが必要な場合

メールの欠点も認識する

メールは非常に便利でコストもほとんどありませんが、デメリットもあります。

お客様の表情が見えず、お客様からもスタッフの表情が見えないため、すれ違いや勘違いなどが起き、感情もヒートアップしやすいという側面もあります。

また、店側には負担する必要のない義務を担当者が勘違いして「できます」「対応させていただきます」などと返信してしまう間違いが起きないとも限りません。言ってしまいそれを相手が了承し、しかもメールという証拠が残ってしまうと法的に応じざるを得ない場合がほとんどですので注意が必要です。

お客様対応のメールについては、各社員間で共有するなどある程度リスクヘッジを行うようにした方が良いと思われます。

送信間違えなどに注意する

お客様とやりとりするメールは、当然そのお客様やその注文内容、配送先の状況などについての情報を含む場合があります。これはすなわち個人情報ですので流出・漏洩すると責任を負わなければならない場合があります。単純な宛先間違いや、関係ない部署の担当者に送ってしまう場合でも流出・漏洩と言い得るので気をつけるようにしてください。

この点を考慮し、メールではなく会員ページから掲示板機能のように店員とやりとりをする機能を持ったECシステムもあるようです。(そのシステムはそのECサイトオリジナルで他社に提供されてはおらず、詳細についてはお話しできません。)

電話による場合

受付日・時間について

電話は担当者がいなければ対応できませんので、受付日・時間については必ず明記するようにしてください。

メールを活用する場合について

証拠が残り、言い間違いなどが起きないメールを活用する場合は事例を挙げてメールでの問い合わせを促すと良いでしょう。例えば、「下記の場合には電話でなくメールにて問い合わせを受け付けております。1.○○○な場合 2.×××な場合」などです。

回線が混み合っている場合について

回線が混み合っている場合に、自動音声ではなくつながらないという場合には、その旨を明記するようにしてください。

商品のレビューなど、お客様側から情報や感想などを投稿する機能がついている場合、また特殊な問題が生じます。それは、知的財産権(著作権)に関する対応です。

通常、お客様が書いた文章はお客様が著作権を有し、その改変・削除・利用・流用などは原則として許されません。しかし、ただお客様の行為にサイト運営を委ねると、お客様同士の言い争いや、お客様が勝手に誰かの文章をそのままコピーして投稿してしまうなどの問題が発生しかねません。

また、投稿したのがお客様でも、その「場」を管理しているのはECサイトですので、その「場」から第三者に飛び火して損害を与えたような場合には、サイト運営者が損害賠償責任を負うおそれがあります。正直、何が起きるかわからないというのが実態です。

ですので、きちんと運営できるように投稿する際には必ずECサイトが提示する条件に従ってもらうようにし、ユーザーが投稿したものについては、監視・削除・差し止めができるようなシステムにするのがよいでしょう。同時に、問題がある投稿について見ている人が簡単に運営者に通報できるシステムにすべきです。

システムをどう組むべきか

どのような機能を実現したいかにもよりますし、何を投稿させるのかによっても異なります。以下、テキストのみのスタンダードなレビュー機能を前提にして述べます。

まず、出来れば該当サイトの会員登録者に限って投稿できるようにするべきではないかと思います。これは、いざというとき本人への連絡ができるからです。もちろん、その意味であればコメント投稿の際に合わせてメールアドレスや電話番号を求めればよいという考え方もあります。

しかし、なるべくレビューなどの投稿を促進したいという場合には、登録会員だけに限るのはちょっと…という場合もあると思います。その場合には、まずいコメントかどうかを監視する体制と、すばやく削除する体制が必要になります。(すべて完璧に監視する義務が法的にあるのかといえばそうではありません。組織的体制に見合った相当な対応・監視をすればよいことになっています。しかし、相当かどうかを判断するのは最終的には裁判所ですし、なにより誹謗中傷が行われているサイトで購買意欲が促進されるでしょうか?なるべく早く対応するのが良いと思います。)

サイトを見ている人が簡単に運営者に通報できるシステムを入れることや、もしくはECサイト運営者の承認をもってコメントを表に表示するようにするという手もあります。また、ある程度キーワードを絞ってそれらキーワードが含まれる投稿(例えば、「殺す」や卑猥な単語など)については、投稿できないようにしてしまうと言うのも手です。

また、削除するかどうか迷った際に備えて、「表示を一時保留する」という対応がとれると非常に便利です。そのような機能をつけることも考えてみてください。

基本姿勢

まず、ECサイトがレビュー機能を付けるのはなぜでしょうか。口コミによるコンバージョン率の増加、サイト内回遊性アップ、PV/UUのアップ、ユーザーの顧客満足度の向上、運営者だけではカバーしきれない商品に関する情報の提供、実際に購入した方からのレビュー投稿で安心感を提供、レビュー内容を販促などに使いたい、などでしょう。

しかし、投稿者には著作権があり、その内容の編集・削除・利用・管理は、原則として著作権者である投稿者しか行えません。

他方で、管理するECサイトに投稿された内容が、第三者に対する誹謗中傷であったり、他のユーザーをだますためのいたずらだったり、言い争いがエスカレートすることで実際に殺傷事件が起きたらたまったものではありません。場の管理者として責任を問われるおそれもあります。

では、ECサイト側の判断で、投稿内容を勝手に消せるようにしましょうか。しかし、何を書いたら消されるかわからないようなところに、善意のユーザーが投稿するでしょうか。恣意的な運用がなされ不愉快な思いをしたユーザーが再び投稿し、もしくはお客様としてサイトを利用してくれるでしょうか。いかにECサイトが管理する場とはいえ、投稿の機会を与え場を解放し共有するのであれば、一方の恣意的運用がその関係を壊し、むしろ悪影響をも与えうるのです。もちろん、最終的には場の管理人としてECサイト運営者の判断になりますが、やはりある程度恣意的な運用をさけるため、一定の基準を設けて明示するのがベストと言えます。

ですので、基本姿勢としては、「あくまで投稿は投稿者の著作権に基づき保護されます。しかし、場の提供者としてこの場の秩序を維持するために、一定の基準を設けてそれに基づき投稿内容を削除することがあります。」というのがバランスがとれていて良いように思います。

利用条件をどう設定すべきか。

基本姿勢と一定の基準

まず、かならず投稿の際に条件を明示し、同意を得てから送信するようにしてください。これがなければ以下の議論は全く無意味になります。また、その同意を得る方法も、著作権が厚く保護されていることに鑑みてしっかり同意を得てください。見えないような小さい文字で条件を示しても何ら意味がありません。

※もちろん、しっかり同意を得たとしてもそれが裁判所で認められるかどうかは、また別問題です。ですので、可能な限り最大限同意を得るようにしてください。

まずは上記で述べたような基本姿勢を述べます。つぎに「一定の基準」ですが、これは以下のようなものになります。

  • 他者の何らかの権利を侵害、またはその恐れがある場合
  • 他者の名誉を毀損、またはその恐れがある場合
  • 発言が元になり、当サイト上での秩序が乱れる、またはその恐れがある場合
  • 客観的な事実に反する場合
  • その他上記に相当するような重大な事態が発生、またはその恐れがあると当店が判断した場合

見てわかるように、究極的には店舗側の判断になります。しかし、要するにまともな投稿であれば運営者が削除することはありませんよというメッセージにはなります。その他思いつくものについてはなるべく列挙し、あらかじめ公開・明示し、投稿の際に同意を得るようにしてください。

レビューを販促などに利用したい場合

投稿の際に、利用するであろうことをなるべく列挙し、明記すること。そして、投稿の際にそれについて同意を得るようにしてください。

例えば、「投稿された内容は、当店の販促、マーケティングの資料として用いられ、またよりよい店舗づくりのための意見として参考にする場合があります。あらかじめご同意の上、投稿してください。」などです。

なお、事前に明示していないものに利用することは、法的に言えば無理があります。同意内容について、いつでも運営者が変更できるようにしておくことはもちろんですが、それは「運営のため必要な場合」に認められると考えられます。もちろんそれは運営者の勝手ですが、「販促のため」である場合に相当性が認められるかについては疑問です。どうしても利用目的について変更したいならば、直接同意を求めるか、メールで新しい規約と変更点を送り、同意できない場合には削除してもらうなどしても認められないおそれがあります。

対外的な規定

また、他のサイトに勝手に利用されては運営者も投稿者もたまったものではありません。対外的には、「当サイト上に掲載されているコンテンツは、当サイトまたは投稿者の財産であり、著作権法によって保護されています。投稿された内容については、投稿者に著作権が帰属します。その使用許諾について当サイトが諾否の判断を行うことや、投稿者の個人情報について開示を行うことはできませんのでご了承ください。なお、投稿の削除基準に該当するような投稿を発見し、削除依頼を当サイトにしたいという場合には当サイトで確認の上応じる可能性があります。その際は当サイトの連絡先にご連絡ください。」などとするべきでしょう。

その他

大変申し訳ないのですが、ここでは著作権その他知的財産権に関する実践的な解説をすることができません。それは私の力量不足でしかないのですが、著作権および著作権者は投稿者の数だけ存在し、利害関係が複雑なのです。法的に言って完璧なものはあり得ません。システムを把握し、顧問弁護士と相談の上規約を定めて、あとはリスクを承知の上で運用するしかありません。

結局は、投稿者が納得できるかどうかです。そして、どんなに厳格に管理・運用しても文句を言う人はいますし、不満を覚える人はいます。そこで、出来るだけ権利を保護し、裁判でも負けないような方向へと舵を切るか、それとも文句を言ってこない程度であればある程度の不満と法的リスクを覚悟して運用する方向へと舵を切るか、利益と思惑とかけられるコストとやりたいことと目的などによって多数の選択肢があるように思います。運営者次第です。

メールの配信については、近時商品の返品規定と並んで活発に法規制が進んでいます。これは、迷惑メール・スパムメールと呼ばれるメールに対応するためであり、それらを生業とする業者に対応するためでもあります。

これに巻き込まれる形で、ECサイトから送信するメールも含めて規制がされています。ただ、ECサイトから送信するメールには、注文を受けた際の重要な連絡を含むメールもあります。これらを一緒くたに規制しているわけではありません。

しかし、では何が重要なメールで何が重要でない迷惑メールなのかについての判断はどのようにすればよいのでしょうか。重要な連絡と同時に販促キャンペーンの案内をしている場合にはどのように解すればよいのでしょうか。微妙な問題と言えます。

これは、全体の文量の何%が連絡部分なのかという基準や、メールのタイトル、メールの冒頭に何が書かれているのか、表現としてどこを強調しているのかなどを基準に判断するしかありません。

メールの種類による違い

注文に関する連絡について

注文に関する連絡メールとは以下のようなものとなります。

  • ご注文完了のお知らせ(注文時に自動配信されるメール)
  • 発送に関するメール(発送手配に入ったことを知らせるメール、伝票番号メールなど)
  • 注文の契約成立を知らせるメール(お客様からの「申込」に対する店側からの「承諾」メール)
  • キャンセル期限の到来を知らせるメール(以後キャンセルが出来ません、など)
  • その他注文、商品の発送に関するお知らせメール(発送の遅れ、注文のキャンセルについてなど)

お店によりどのようなメールを送るかどうかについては、まちまちでしょう。これらの他に、「サンクスメール」や「フォローメール」を送信しているところも多いでしょう。この2つについては、注文に関する連絡と言えるのかどうかは微妙なところです。なるべく法で規定すべきとされていることをヘッダやフッタに記載すべきでしょう。

注文に関する連絡とは言えないメールについて

注文に関するメール以外のすべてのメールを指します。主なものは、メールマガジンです。

メールマガジンは、ECサイトのリピーター確保のために非常に重要な役割を果たしており、受信されている方も多いでしょう。しかし、今後ECサイトのメールで規制が入るとすれば、間違いなくメールマガジンに関する規制です。

どのようにメールアドレスを取得するか

ECサイトでは、連絡先としてメールアドレスを取得します。しかし、何もサイト上に表記がなければ、通常それは注文に関する情報をメールで送信するために取得されると考えられます。ですので、何も注記をしていない場合や同意を求めないまま、注文の際にいただいたメールアドレスにメールマガジンを配信することは、特電法違反となります。

そのため、メールアドレス入力欄や、ご注文内容確定画面に、「メールアドレスにメールマガジンなどを送信することに同意する」のような内容で、チェックボックスを求めることなどが必要になります。

なお、デフォルトでチェックがオンになっているサイトが多いと思います。楽天などが良い例ですね。

※デフォルトでチェックがオン

例えばこんなやつ↓です。(最初からチェックが入っているのが分かると思います。)

メールマガジンの配信を希望する。

このデフォルトでチェックがオンについては、法的な規制は入っていません。しかし、ガイドラインで止めるように推奨されていますので、そのうち規制されるかもしれません。

メールについて記載すべき事項について

注文に関する連絡とは言えないメール、つまりメールマガジンなどの販促に用いるメールなどには規制法が入っています。主に、特定電子メール送信の適正化等に関する法律(以下、特電法とします)に従うことが必要になります。とくに本法律は、違反する業者の悪質性と量に鑑み、罰則が段々と強化されていますので、注意するようにしてください。

メールのヘッダとフッタに着目して以下のページにて、解説しています。

以下、フッタ(末尾)部分に記載すべき事項です。なお、以下の内容は別にヘッダ部分に書いても問題ありません。

送信専用アドレスについて

宛先不明メールを受信したくないなどの理由で、送信専用アドレスでメールマガジンを送信する例があります。

メールマガジンの内容について質問したい場合や、配信を止めてほしい場合などにそのまま返信をするユーザーもいますので、送信専用アドレスの場合にはその旨を明記するようにするといいでしょう。

誤送信の場合について

システムをちゃんと組んでいればあまり無いですが、誤ったアドレスに送信されることも考え、「このメールに心当たりが無い方へ」というような内容で連絡先を明記すると良いでしょう。

特電法で要求される事項について

概要

特電法第4条は、メールに記載する義務(表示義務)がある項目を定めています。この項目について、以下解説します。

なお、HTMLメールで送信する場合、フォントサイズを変更したり出来ますが、下記の事項について著しく小さい文字で表示したり、目につきにくい色で表記した場合などは、表示義務違反とされるおそれもありますので注意してください。

送信責任者の氏名・名称

送信者の氏名・名称を記載するようにしてください。法人の場合は会社名となります。もちろん、会社内でメールの配信について責任者(苦情先)が居る場合には、それも併記するのが望ましいでしょう。

お店の名前と運営会社名が異なる場合には、併記するか、会社の名前を記載してください。

送信責任者の連絡先

連絡先については、要するにメールの配信の停止をどこに請求すれば良いのかを明示することです。メール配信について特別の連絡先を用意する場合には、そちらも記載するようにしてください。電話番号とメールアドレスを記載し、電話については受付日・時間を併記すると良いでしょう。

また、住所についても記載するようにしてください。メールの配信停止については、サイト上からしか受け付けないというのは少し無理があり、住所に郵送で手紙が来ても対応しなければなりません。

店のURLも記載するようにしてください。

メール配信を止めることができる方法・連絡先

メール配信を止める方法についても記載するようにしてください。さまざまな方法を用意していたり多くの説明を要する場合には、説明ページを設けそちらへのリンクを記載するのもよいかもしれません。

著作権表示について

送信しているメールの内容について、運営者側が著作権を持っていることを示すため、著作権表示を忘れないようにして下さい。

当サイトでも、すべてのページでフッタに、「ECサイト運営者のための法律情報まとめサイト All rights reserved.」と記載してあります。このような記載です。

ヘッダ(冒頭部分)には、そのメール全体の内容が分かるようにメールの主題を記載すると良いでしょう。

すいません、それだけです(^^;

なお、フッタ部分に記載すべきと本サイトで解説している項目について、ヘッダ部分に記載しても問題ありません。ただ、それだと販売効果的にも微妙ですし、メールの内容も分かりづらくなってしまいます。

HTMLメールかテキストメール

最近では、HTMLメールがかなり多くなってきました。おそらく、楽天が推進し、Webメールの利用も増えているので普及が進んでいるのだと思います。

しかし、HTMLメールはセキュリティ上の問題をいまだ孕んでおり、開けないようにしているユーザーも多いですし、毛嫌いしている方も多いです。

送信しない方が良いとは全く思いませんが、送信する内容がHTMLメールであることを明示したり、HTMLメール版とテキストメール版を用意するなどをするとより親切かと思います。

モバイルでは、デコメール©などもあり、HTMLメールを送信する店舗もかなり多いです。モバイルの場合には、読める読めないの問題やセキュリティ上の問題は発生しづらいですが、パケット代というまた違う問題があります。意外にもデコメールのパケット代は高いので、気をつけてください。

メールの受信については通信料がかかりお客様負担であることや、お店から配信するメールマガジンはHTMLメール(デコメール)であるということを注記しておくと良いでしょう。

フォントについて

プロポーショナルフォントと固定幅フォントの区別がついていない方は未だに多いです。それを前提にして内容を書くか、サイト上・メール上で注記するのもよいかもしれません。

機種依存文字について

Windowsだと読めて、MacOSだと読めないという文字があります。下記の参考サイトなどを参照し、念のため気をつけるようにしてください。Macについては、使用してる方が全体からすれば少ないですが、近時シェアが増加しています。

⇒参考サイト:機種依存文字

外部リンクについて

自分のお店へのリンクは良いのですが、例えばそれ以外へのリンクをする場合にはそれを明示するのが良いでしょう。

HTMLメールの場合は特に注意が必要です。

PC向けかモバイル向けか

モバイル向けにPC向けのメールを送ってしまうと、読みづらい・読めない、パケット代が高い、リンクを踏むとPC向けサイトが表示されてしまうなどの問題が発生しやすくなります。

どのようにシステムを組むかにもよりますが、気をつけるようにしてください。

混同して送ってしまう場合には、念のためリンク近くに「PC向けサイトです」などの注記を入れると良いかもしれません。

本ページで解説してあることは、良く用いられるものを中心にしています。その他にも、運営サイトごとに気をつけるべき事は多くあります。

一番気をつけるべき事は、広告です。広告には、景品表示法で広く規制が行われており、各省庁も良く動いています。外部に広告を出す場合には、ユーザーが勘違いをすることの無いように記載するよう気をつけてください。

商品に同封する書類

販促ツールとしての同封書類

商品に同封する書類は、お客様の直接手に触れて、目に触れる書類となります。ここに心を込めたメッセージを込める店舗もあれば、一つも書類を同封しない店舗もあります。

同封する書類については、まず目に入りますし、それが直接手と目に触れる点から、お客様に訴求する力が強いものです。ここに工夫を入れるか入れないかは、リピーター戦略上も非常に強い意味を持つでしょう。

例えば、Amazonでは、季節ごとに特価商品のカタログチラシを入れていたり、楽天のある文房具屋さんでは人気のある商品について質感や使い勝手を写真で宣伝するチラシを入れていたりもします。また、サイト上で使えるクーポンコードを記載したカードを入れるという例もあります。

販促の一助として、必要性や可能性を感じるのであればぜひ検討してみてください。

同封書類に記載すべき事

上記のようなことはここではひとまず置いておくとして、以下は、いわゆる領収書や取引明細書について解説します。とはいえ、別に法規制があるわけではないので記載内容は自由です。

書類を同封することについては、リピーター戦略という部分をのぞくとお店側にはあまりメリットは無いのではないんじゃないかと思う方もいると思います。

ただ、注文内容と配送されてきたものがズレてないかどうかチェックしやすくなりますので、お客様の方で間違いに気付きやすく、後になって気付いて手遅れになるという可能性が低くなります。

これは、多種の商品を同時に注文されることが多いサイトでは特に意味があることになります。

そうでないサイトについても、ある程度発展してくると、今度は以下に同時にものを買ってもらえるかというのが一つのテーマになりますので、結局はあった方が良いのではないかとも思います。

というわけで、同封書類には商品名と商品点数、金額の記載などは最低限しておいた方が良いのではないでしょうか。

ポイントについて

ユーザーの囲い込み戦略として、ポイント制度を導入しているECサイトも増えています。ポイント制度は、法的な規制が入ることはほとんどありませんので、基本的には自由に制度設計が可能です。

注意点としては、「ポイントがどのように付与されるか」「ポイントがいつ付与されるか」「ポイントがいつ使えるようになるか」を明確にするのが良いでしょう。

また、楽天市場でのポイントは、表示されるポイントと「実際に使えるポイント」が異なったりするので、楽天に出している店舗はそれを把握しておくことやサイト上に表示しておくことが好ましいでしょう。同時に、楽天の店舗ではないオリジナルドメインサイトにおいても、表示ポイントと実際に使えるポイントが異なるのであれば、それについて説明を明示するべきです。

なお、楽天市場での注文の際、「使えるポイントをすべて使える」を選択した場合にお客様に表示される最終注文確定画面上での表示と、実際の決済額が異なる可能性があります。

これは、「使えるポイントをすべて使える」の厳密な意味が、「(お客様がご注文を確定した時点での)使えるポイントをすべて使える」ではなく、「(店舗側がポイント承認をした時点での)使えるポイントをすべて使える」という意味だからです。楽天側の仕様なので店舗側にはどうしようもありませんが、把握しておくことやサイト上に表示しておくことが好ましいように思います。

本ページは、ECサイト運営者が、お客様からのクレジットカード決済を利用した注文にどう対応すべきかについて、また、その注文で使われたカードが不正のものでないかを見分けるための情報を提供するページです。

ECサイトを利用する人が、そのECサイトがカード情報を不正に取り扱っているかどうかを見分けるページではありませんのでご注意ください。

増える不正クレジットカード

ここ1年(2008~2009年)で見ると、不正に取得されたクレジットカードの利用でお店側が被害を被る事例が増えているようです。これはデータではなく様々なお店・モールなどの実際に業務に関わる担当者から聞いた話や雰囲気からする「実感」です。

不況であることに加え、クレジットカードの情報の肝は、容易に送信できる「番号」であるという事実と、ECサイトが全世界どこからでも利用できるという事実から、この問題は世界規模の問題とも言えます。

また、ECサイトだけでなく、インターネット上の課金にクレジットカードを利用するサービスは増え続けています。自然、インターネット上でクレジットカード番号を入力・送信する機会も増えていますので、なかには悪徳業者に送信してしまって気付かない場合もあるでしょう。

それらに加えて、マルウェア(スパイウェア、ワーム、ウイルス、トロイの木馬、キーロガーなどを含む)も増え続けていますし、カード情報を盗まれる機会はますます増加し、これが根絶されることはおそらく無いでしょう。

つまり、ECサイトを運営する限り、これからも不正注文とは戦い続けなければならないということです。それを覚悟する必要があります。

誠実なサイト運営と不正カード対応とのジレンマ

不正カードに対応するといっても、実際訴訟対応は難しいうえにコストパフォーマンスが悪い場合がほとんどなので、商品発送の前段階で止めるしかありません。

しかし、不正な注文と正当な注文を見分ける手段は限られており、一方で「注文したのに商品が来ない」とか、「注文してから発送まで遅い・時間がかかりすぎ」と言われてしまうのは、特にリードタイムが重要なECサイト運営にとって由々しき問題です。

クレジットカード会社や決済代行会社もこの点を由々しき問題だと捉え解決しようとしています。それは間違いありません。しかし、聞いた話では、不正注文は全取り扱い決済中1%に満たない規模だそうですし、その損害はECサイトが負ってくれるか、保険会社が負ってくれるかなので、カード会社や決済代行会社がかけられるコストは自然に限られてきます。

つまり、クレジットカード会社や決済代行会社に一任もできないので、ECサイト運営者は、一緒に協力して不正カード注文をはじくしかありません。

不正な注文にどう対応するか:サイト規模による違い

不正注文に対して、どのように対応するかについては、企業規模やサイト規模によっても異なるでしょう。不正注文が全注文のうち無視できるくらい少なく、損害を無視できるなどの場合には、基本的には放っておくでしょうし、逆にコストをかけて不正注文に対応するようなシステムを作るでしょう。

サイト規模 対応の違い

(注文件数がとても多い/不正注文を無視できる規模の売り上げ・利益がある)
  • 基本的には無視する。注文のうち金額規模の大きいものだけ詳細なチェックを入れる。
  • 不正注文をある程度自動で防げるようなシステムを作る、導入する
中~小
(注文件数が少ない/不正注文による損害を無視できない)
  • すべて注文内容をチェックする
  • クレジットカードを利用した注文についてはすべて電話で確認する
  • クレジットカードを利用した注文についてはすべてカード会社に契約者情報とマッチしているか照合する

どのような対応が、運営しているECサイトにもっとも良いのか。それは運営者の判断になります。また、商品の利益率や不正注文の割合にもよるでしょうし、不正注文に対して避けるコストにもよるでしょう。上記に示したジレンマも考慮に入れつつ最適なもの、つまりもっともコストパフォーマンスが良い対策を選択することが大切です。

不正注文に対するシステム的な対応について

クレジットカードの不正注文を見分ける一つの手段として、「3Dセキュア」機能を導入するサイトも増えているようです。また、たいていはカードの裏に記載されている「セキュリティコード」を利用するという手もあります。

また、配送会社が提供しているクレジットカードサービスを利用するという手もあるでしょう。私がいた会社では利用していなかったので詳細は不明ですが、おそらく配送会社との契約上、カード不正の場合の配送会社は責任を負わない条項があるでしょうから、配送会社が責任を負うと言うことはないでしょうが、配送会社は実際に実物のカードを使って決済を行うので、その分不正なカードである確率が減ります。(もちろん、カードが通れば商品は引き渡されてしまうので、その分危険という考え方もあります。)

不正注文の見分け方

不正注文にはある程度特徴があり、その特徴からある程度不正かどうかを見分けることが出来ます。

これで完璧に見分けられるわけではありませんが、以下に解説していますので参考にしてみてください。

名義で見分ける

カード名義が、注文者と異なる場合には気をつけてください。

また、外国で作られたカードを不正に取得し、日本国内に持ち込んで使うという場合や外国から直接ECサイトにアクセスしてくる事例もあります。名義が外国人の場合にも注意してください。

上記2つを組み合わせた場合、つまり注文者名義は日本人なのに、カード名義は外国人という場合はかなり怪しいです。

ログを参照し、複数回試していないかで見分ける

不正カードの利用者は、一つのカードだけもっているという場合はあまりなく、複数カード番号を所持しています。それらを何度も試す事例は非常に多いです。

複数回試している場合には気をつけるべきですし、複数回違うカード番号を試している場合にはかなり怪しいと言えます。

ただ、もちろん普通のお客様でもカード番号の入力を間違えたり、有効期限を間違えたりして複数試す場合もありますし、複数正当なカードを所持しており違うカードを試してみるということが考えられます。気をつけて見てください。

電話番号で見分ける

実在しない番号などの場合があります。なお、法人などの場合には電話番号をインターネットで検索してみると照合できる場合があります。怪しいなと思ったら電話番号でインターネット検索してみるのも一つの手です。

住所で見分ける

実在しない住所の場合があります。今は、Googleのサービスで、衛星写真を見られたり、ストリートビューで実際の建物を見ることが出来る場合もあります。怪しいなと思ったら住所を検索してみるのは非常に有効な手段の一つです。

また、外国の住所は非常に怪しいです。といっても、国際配送に対応するECサイトはあまり多くはありませんし、そこはまた違う次元のリスクがありますし、私もよくわかりませんので(汗)、本サイトでは割愛します。

発送先がホテルの一室などの場合も非常に怪しいといえます。その場合には、当該ホテルに確認してみるのも手です。もちろん、ホテル側が教えてくれない場合もあります。

警察が公開している「振り込め詐欺に利用された住所」と照合してみるという手もあります。どうやら流用される事例があるそうです。(⇒警察庁・公開ページ/もしくは「その宛先は大丈夫ですか?」で検索してみると該当PDFファイルが出てきます。)

Eメールアドレスで見分ける

注文時に自動で配信するメールが宛先不明などで返ってきている場合には一応気をつけてみてください。なお、返ってきているメールには英語ではありますがメールが届かない理由が書いてあります。(⇒参考サイト

もちろんただの入力ミスも考えられます。入力ミスはお客様が入力情報を送信する際にシステム側でチェックするようにするのが自然です。以下に、代表的な入力ミスを簡単にまとめます。

間違い事例 具体例
「,(カンマ)」と「.(ピリオド)」を間違えている hogehoge@yahoo,co.jp
「l(アルファベットのエル)」と「1(数字のいち)」を間違えている。 i11egal@hogehoge.comなど
ドメインを間違えている hogehoge@yahoo.ne.jpなど

※この例は、「@yahoo.co.jp」と「ybb.ne.jp」が混ざってしまっています。

なお、不正注文は無料で取得できるアドレスを利用していることがほとんどです。特に米ヤフーの無料メールサービス(アドレスが「@yahoo.com」で終わる)場合は、一応注意が必要です。「~@yahoo.com」であれば自動的にはじく決済システムもあるくらいです。

ちなみに、メールアドレスの「@(アットマーク)」から後ろは、「ドメインネーム」といい、重複して取得できないだけでなくドメインネームを取得している人・組織の名前・住所が公開されています。Whoisサービス(⇒例えばこちらのサイトなど)を利用してドメインの登録した人・組織の名前などを見ることが出来ますので、それと照合するというのも一つの手段です。

ただし、ドメインは、ドメイン取得会社が代理で取得し実際の利用者の名前や住所が出ていない場合も普通にあります。あくまで一つの参考程度です。

注文内容で見分ける

不正注文者は、商品を不正に受け取った後、それを換金することで利益を得ます。したがって、換金性が高い物が良く狙われます。例えば、パソコン、デジタルカメラなどのPC・AV機器、高級時計などです。これらを取り扱っているお店は殊更に気をつける必要があります。

高額な物しか取り扱っていない場合には参考になりませんが、高額な物の注文についても気をつけるべきです。また、当該商品の店の設定価格が市場価格よりも高いにもかかわらず注文してきている場合などについても怪しいと言えます。(ECでは安値の店を探すのは難しくないからです。)

カード会社の監視で見分ける

カード会社も不正かどうか監視しています。会社により体制が異なりますし、基本的に注文からすぐにくることはありませんが、カード会社からそのような連絡が来た場合にはかなり不正の疑いが強いので、直ちに対処するようにした方が良いでしょう。なお、その場合でも原則としてカード会社が強制的に決済停止するわけではありませんので、決済のキャンセル処理を忘れないようにしてください。

決済代行会社の監視で見分ける

決済代行会社を利用している場合にしか利用できませんが、決済代行会社も独自の方法で監視をしていたりします。この監視による連絡は、通常カード会社よりも速く連絡が来ます。ただ、不正かどうかの判断力は事例によってもまちまちです。特に問題がなければ、キャンセルとした方が良いように思いますが、判断するのは店側の責任となります。

その他の部分で見分ける

注文の際お店にコメントを乗せることができる場合、なにか通常想定されるメッセージが入っていれば、不正注文である恐れはほとんど無いように思います。

他にもお店によって様々な見分け方が考えられます。一つの点で怪しいなと思ったら、他にも怪しげな点を探してみると良いでしょう。あくまで複合的な判断となります。

不正注文への対応

不正注文だと判明、もしくは不正注文ではないかと疑われる場合にはどのように対応すべきでしょうか。実際に損害が発生した場合と発生する前の場合で分けて解説します。

損害が発生する前に確実に不正注文だと判明した場合

発送する前であれば、発送手続きを停止し、発送した後であれば配送会社で差し止めを請求します(伝票番号と発送元・発送先情報が必要です)

もちろん、クレジットカードで決済を確定していた場合にはそのキャンセル処理をすることを忘れないようにしてください。放っておくと、カードを盗難された被害者などに請求が行ってしまいます。

不正であれば注文者に対して連絡をする必要はあまりありませんが、念のため、「クレジットカード情報から不正の利用の恐れがあると判断されましたのでご注文をキャンセルさせていただきます。」という旨のメールを送ると良いでしょう。加えて、問題がある場合の連絡先と、他の支払い方法による注文をお願いしても良いでしょう。

損害が発生する前に不正注文だと疑われる事由がある場合

疑われる注文がある場合には、いくつか対応手段があります。

  1. 規約やご利用ガイド、注文手続き中であらかじめ店側の判断でキャンセルする場合があることを明示し、怪しげな注文はキャンセルしてしまう
  2. 注文者に直接問い合わせる
  3. 決済代行会社に相談し、意見を聞いてみる
  4. カード会社に相談し、意見を聞いてみる
  5. カード会社に注文者情報と契約者情報とを照合してもらう
  6. カード会社から直接契約者に問い合わせてもらう

決済代行会社や、カード会社は、そのカードがいつどこでどのように使われたかのデータをもっています。不正利用者は、短期間に集中して多数の店舗に注文をかけていたりしますし、カード会社独自に収集している情報から顧客の利用傾向なども把握していますので、相談してみて情報を聞いてみるのは一つの判断材料になり得ます。

一方で、カード会社や決済代行会社の保有する情報は個人情報を含み、守秘義務もありますので、すべての情報を教えてもらえるわけではありません。そこらへんは、事前に秘密保持契約(NDA)がどのようになっているのか、どこまで情報を開示してもらえるのか、不正と疑われる注文に対してどこまで対応してもらえるかなどについて、カード会社に確認しておきましょう。

また、カード会社が保有する契約者情報と注文者情報を照合してもらうことができるはずです。不正かどうか確かめるのにこれ以上のものはないですので、出来るかどうか確かめた上でぜひやってもらうのもよいでしょう。ただし、この照合にはカード会社により時間がかかる場合があり、お客様を待たせてしまう点がデメリットとなります。なお、注文者の個人情報をカード会社に送信することになるので、規約などで事前にお客様の同意を得ておく必要があります。

損害が発生した後の場合

商品の配送が終了した後で、不正注文だと判明し、代金の回収ができなくなることでその商品代金分の損害が発生します。

この場合、まずは不正注文者を特定することが必要となります。特定には、IPアドレスからプロバイダを割り出し、プロバイダに問い合わせることが必要になります。しかし、プロバイダも易々と情報を出すわけには生きませんので、関係捜査機関や弁護士などからの照会が必要になるかもしれません。こういった場合には、警察や弁護士への相談が必要になるでしょう。