クレジットカード決済は、ECにおいて5割から6割以上も用いられている一番メジャーな決済方法となります。そのため、クレジットカード決済はできれば導入したいという運営者は非常に多いと思います。
しかし、クレジットカードをECで導入することについては非常に多くの問題点があります。以下、項目ごとに述べていきたいと思います。
本ページの下に、書くべき項目と記載例についてまとめてもいますので、参照してみてください。
不正のカード利用があり得る
カード会社との契約にもよりますが、おそらくは不正の利用があった場合に損失を被るのは店側となっているはずです。これは、カード会社もしくはカード決済代行会社との契約上、「本人の適正な注文であることを店側が確認してからカード決済を実行するようにする」となっているためです。その注文が本人による適正なものであるかどうかは、カード会社には判断できない以上、その部分は店側が負うしかありません。したがって、不正かどうかを見分けるのは店側の責任となります。
ここで問題なのは、対面ではない以上本人かどうかを確かめる手段はご入力いただいた情報から判断するしかないと言うことです(不正のカードかどうか見分ける手段については、別ページを用意しているので、そちらをご参照ください)。このようなリスクがあることを認識した上で、様々な対策・工夫を行う必要があるように思います。
- 契約成立前[契約成立(注文承諾)メールを送る前]にカード情報を確認するような運営体制にする。
- サイト上の注記や、ご注文をいただいた際の自動配信メールに、クレジットカード情報により不正が疑われる場合には、適正な取引のため店側からキャンセルをする場合がある旨を明記する。
- サイト上の注記や、ご注文をいただいた際の自動配信メールに、クレジットカード決済の場合、本人かどうか確認するためいただいた情報をもとにご注文者に連絡をする場合があることを明記する。
- サイト上の注記や、ご注文をいただいた際の自動配信メールに、クレジットカード決済の場合、本人かどうか確認するため証明書類の提出などを求める場合があることを明記する。
- サイト上の注記や、ご注文をいただいた際の自動配信メールに、クレジットカード決済の場合、本人かどうかの確認手続きのため、発送までお時間をいただく場合があることを明記する。
- 注文者と同一名義のクレジットカードしか受け付けないようにする。(夫婦間で利用している場合など、少なからず名義が違う場合があります。)
契約として複雑である
クレジットカード決済は、当事者として「お客様」「ECサイト(店)」「クレジットカード会社」の三者が考えられます。これに加えて「クレジットカード決済代行会社」を利用する場合もあります。
ECサイト側からすると、クレジットカード会社(代行会社)は、パートナーであると同時に契約相手です。しかも、どちらかといえば立場が弱い方です。契約で融通が利くのは支払いタームや手数料率くらいでしょう。上述したように、注文が不当なものでないかどうかなどについては店側が全責任を負うことになります。
また、2009年12月1日から施行される改正割賦販売法によれば、特定の場合※1について、お客様からクレジットカード会社に直接支払いを停止することが出来るようにもなりました。これを逆に利用される※2という可能性もありますので、店側はより不正注文に対して注意をする必要があります。
- 条件を満たす契約であること(2ヶ月以上の期間にわたる3回以上の分割払い、抗弁事由の存在など
※場合によってこの条件は変化します - お客様からクレジットカード会社へ支払い停止を求める内容証明郵便を送ること
カードで決済後、抗弁事由をでっちあげて支払いを免れる場合です。この場合、抗弁事由の認定についてカード会社がどのように動くか、後々になって警察がどのように動くかなどにもよりますが、店側が取り得る手段は限られますし、店側が抗弁事由が無いことを証明しなければならないとすれば、非常に面倒ですし、コスト的にも対応しきれないECサイトは多いでしょう。改正以後、どのような実務上の問題があるのかは未知数ですが、考えられ得ると言えるように思います。
クレジットカードシステムとサイトとの連携が必要
クレジットカード決済システムは、ECサイトへのシステムへの組み込みが必要になります。もちろん、クレジットカードに対応したECサイトシステムは多数ありますし、モールを利用する場合でもシステム的には簡単に利用できるように思います。
しかし、システムによって使い勝手は大きく異なります。システムのレスポンスが悪くタイムアウトになるような場合には、決済自体が出来ませんし、お客様側で複数回ボタンを押してしまい二重決済になるなどの問題が起きるシステムもあります。
また、注文確定時には与信枠だけ確保し(仮決済)、在庫の有無を確認、不正注文かどうか確認し、契約成立OKと判断した時に決済を確定(本決済)するというようなシステムを組む場合、決済のタイミングと契約成立を知らせるメールを同時に行うなどの処理も必要になりますし、運用上の操作も複雑になる恐れがあります。どのような契約成立の仕方にするか、どのような運用体制にするかは非常に難しい問題をはらむのです。
情報を保有する場合、流出・漏洩の危険がある
注文者の名前などの情報と合わせてクレジットカード番号が流出・漏洩した場合、非常に多額の損害賠償を請求されるおそれがあります。実際に多くの事例もあります※。
従来、クレジットカード情報は個人情報保護法でも保護の対象となっておらず、漏洩・流出させた業者に対して行政からの強い対応が期待できませんでした。しかし、2009年12月1日から施行される割賦販売法においては、クレジットカード情報を保有する業者に対して、流出・漏洩させないように必要な措置を講ずることが義務づけられています。これからは、民事上の責任だけでなく行政上の責任も負うのです。
もっとも確実で安全な対策は、クレジットカード情報を保有しないことです。ECサイト側で保有しなければ、そこから漏洩・流出するおそれはほぼ0になります。私個人としてはこれをおすすめします。
この場合、リピートしてくれたお客様が再度カード番号を入力しなければならず不便じゃないかと思われるかもしれません。その場合には、カード情報を代行して保有してくれるサービス※もありますし、楽天などのモールでは、原則としてお店側にはクレジットカード情報が開示されず楽天側で代行して保有してくれますので、そちらを利用するというのも一つの手段です。
- ネット通販モデル | クレジットカード決済導入ナビ | ゼウス(リピーター向け継続決済 Quick Charge)
- カード決済システム BlueGateのカード番号預かり機能
- ベリトランスカード 決済システム | カード決済サービス | SBIベリトランス株式会社
領収書について
税法上、領収書は、「まさに代金と引き替えとなる書類」です。クレジットカード決済の場合、「まさに代金と引き替える」のは、クレジットカード会社および銀行であり、クレジットカード会社発行の利用明細書が「正式な領収書(相当)」になります。
領収書については、別ページに解説していますので、そちらを参照してください。
その他の注意点・表記すべき事項について
- クレジットカード決済で手数料をお客様負担とする場合には明示すること。(業界・取扱品目によってはお客様側に手数料負担を求めることを禁止していますのでカード会社にきちんと確認をしてください。)
- クレジットカード代行会社を利用する場合には、その連絡先も明示するようにしてください。
- カード会社・決済代行会社との契約上、サイト上に表示することとされている項目がある場合があります。カード会社・決済代行会社との契約書も参照してきちんと見るようにしてください。場合によっては、契約を解除されるおそれがなきにしもあらずです。
書くべき項目・記載例まとめ
書くべき項目 | 記載例 |
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概要 |
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利用可能なカード | 当店では、VISA・JCB・MASTER CARDのマークのあるクレジットカードが利用可能です。
※VISAデビットカードなどもあるので気をつけてください。 |
お支払い方法(回数) | 一括払い、分割払い(最大12回まで)、リボルビング払いが利用可能です。
※AMEXやDinersなど、一括払いのみ可能という場合がありますので、その場合には注記をする必要があります。 |
手数料について | 手数料につきましては、お客様負担はございません。
※負担がある場合、取扱商品のうち一部だけ異なる場合にはその旨を明記する。その場合、できれば各商品ページに手数料率を明記する。 |
支払総額 | クレジットカード決済をご選択いただいた場合のお支払総額は、「商品代金+送料」となっております。 |
請求のタイミング | ご注文確定後、当店で在庫の有無やクレジットカードの真実性を確認後となります。
※もしくは、「ご注文確定ボタンをお客様が押したあとすぐ」などとなります。 |
信用審査について | クレジットカード決済には、当店での真実性審査に加え、クレジットカード会社による決済審査がございます。審査において、なんらかの事情で通過されなかった場合、自動的に注文はキャンセルとなります。 |
クレジットカード決済でエラーが出る方へ | クレジットカードでエラーが出るのはいくつかの場合が考えられます。以下に該当しないかお確かめの上、再度確認してみてください。
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その他 | ※注意点として、以下のようなことを記載するとよりよいと思われます。
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その他<決済代行会社を利用している場合> |
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